■中華人民共和国の建国60周年参観記 2009年10月9日 会員 伊東 教夫さん |
2009年10月1日、中華人民共和国の北京の空は、前々日からの曇天が全く嘘のように澄みわたった青空となった。中国の科学力で人工降雨がなされ、真夜中に大量の雨が降って実に爽やかな天気になった。
天安門前に整然と並んだ陸・海・空の三軍の隊列の前を、オープンカーに人民服姿で乗った胡錦涛国家主席が、各隊列の前に来ると大きな声で、「同志、辛苦了」(同志たち御苦労様)と呼びかける姿に、応える将兵たちはいっせいに挙手をして建国60周年を迎え、更に国民の一致団結を誓っているように感じとられた。
胡錦涛主席はまもなく天安門の楼上から、高らかに建国60周年のお祝いの言葉を国民に述べ終えると、三軍の行進が堂々と胡主席を真ん中にした政府の要人たちならびに、かつての要人たちと一緒になって、楼上からしきりに手を振る姿に建国60周年に至った中国が、他国からの侵略戦争や内戦を克服した苦難が偲ばれるのであった。
人生60年の間には山あり谷ありで、国家建設にしても波乱の幾つかはあっても当然の事であり、建国60周年を平穏に、しかも大発展の状態を全世界に示すことができる中国人民の誇りと自信たるや、共に喜ばずにはおられなかった。
10月1日の当日は建国60周年のパレードのために、天安門広場は厳戒体制が敷かれたので、市民はテレビ画面の放送に午前9時から午後1時まで引き付けられるように眺め、次々と繰り出される新装備の軍事力の展開に、目を見張ったのであった。4時間にわたるパレードをホテルの自室のテレビで眺めた私は翌日、天安門広場に飾り付けられた雰囲気を味わうために出かけたところ、天安門前は人の波であふれ、そこを掻き分けて歩くのに疲れながらも、人々の表情の明るさに魅せられた。
私は地下鉄とバスを利用して眺め回ったのだが、中国の若者達は初老の私の姿を見ると、サット立ち上がって私へ席を譲ってくれる思いやりの心には、儒教精神による「礼」の社会教育が徹底しているものを感じざるを得なく、振り返って祖国日本の若者及び大人達の道義心のすたれが恥ずかしく思えた。
ここ20数年間で経済的大飛躍をなし、更に発展を目指している中国は必ずや21世紀の世界をリードしていく国家になることを、若者達の猛烈な学習意欲から、私は肌に強烈に感じた。いまや世界の政治・経済は西から東へと移りつつあり、その基軸は中華人民共和国になるであろうことを予感した。
建国60周年の慶賀を北京の青空の元で体験できたのを嬉しく思い、神奈川県民の皆様へ伝えるしだいである。
|
|
|