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 いまから10年前、北京在住の友人に招かれ、建国50周年の国慶節に沸く北京に飛んだ。天安門前のパレードは大変な人込みでよく見えなかった(後にTV で視聴した)が、夜、市内各所から途切れることなく打ち上げられた花火の饗宴には酔いしれた。とくに、宿泊中のホテル近くの広場から打ち上げられた花火の 華麗さには圧倒される思いだった。私は花火に見とれながら、中国革命の苦難の歴史や建国いらい50年の歩み、日中友好の険しい道のりなどを想い浮かべてい たが、いつしか胸に熱いものがこみ上げてきた。

改革・開放いらい20年でGDP(国内総生産)は25倍になっていたが、さらに、この50周年を機に中国経済の新たな発展が始まった。2000年には工 業生産高で世界一になり、GDPも初めて1兆ドルを超え、世界第7位にランクされた。01年にはWTO(世界貿易機関)への加盟を実現し、04年からは先 進国サミットのオブザーバーに迎えられている。その後も10%台の高度成長が続き、08年にはGDPでドイツを抜いて世界第3位に躍進した。あと1~2年 で日本を追い越し、世界第2位を占める勢いである。

 史上最強の軍事力をもってしてもアフガニスタン、イラクで「勝利」できない米国は、大きく威信を傷つけられているが、米国発の金融危機、経済危機を機に 世界経済における「米国一強時代」も終わりつつある。金融サミットが先進国クラブのG8ではなく、新興国を含むG20で開催されたのも、世界経済の主役交 代を告げるシグナルといえる。米国経済依存からの脱却や基軸通貨ドルの見直しも議論されたロンドン・サミットの歴史的意義もここにある。なかでも中国の存 在感がきわ立って大きく、世界経済回復への牽引役を期待され、早くも実績をあげつつある。これを受けて、米国内にはG20をリードするためにもG2(米 中)の連携、協調がより重要になっているとの考え方が浮上している(フレッド・バーグステンやガイトナー財務長官らの発言)。G8からG20へ、さらに G2へと、世界経済の構造変動、主役交代が急ピッチで進んでいる。

 今年は建国60周年だが、50周年を祝った10年前に比べ、世界の政治、経済に占める中国の地位は様変わりに変わっている。もはやアジアも世界も、中国 抜きには物事が決められなくなっている。それだけに、地球や人類の未来に対する中国の責任はズッシリと重くなっている。その覚悟と方策がつよく求められる なかで迎える60周年である。

(久保孝雄)

『日本と中国』09年6月15日所載

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