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 時々「なぜ中国に対しては友好協会があり、友好運動があるのか」と聞かれることがある。韓国、ロシア、米国などに対しても友好組織があり、活動も行われているが、全国と地方に組織があり、都道府県や数百の都市が中国の省・市と友好提携しているような国は、他にはない。

日本の国際交流活動のなかで、日中友好はひときわ大きな存在だ。それはなぜなのか。まず、日中は隣国で、特別の関係がある。2000年の交流の歴史があり、中身も深い。日本文化の基礎を作った稲作、漢字、仏教、儒教、律令制度、貨幣制度などはすべて中国から伝来した。

また、吉野ケ里でわかったように、弥生人には大陸系の遺伝子が入っていた。中国大陸からの渡来人が日本人のルーツの一部であり、日本民族とは兄弟の関係にある。

このように、長い交流で大きな文化的恩恵を受けてきたのに、明治いらいの近代日本は中国を蔑視し、敵視し、侵略行為を繰り返し、2000万人を超える中国 人を殺傷し、国土を荒廃させてきた。これに対する深い贖罪(しょくざい)の意識が、戦争を体験した多くの日本人の中にある。国交回復運動や友好運動の基礎 を築いたのは、こうした人たちだった。

友好運動の中核を担うのは、こうした歴史認識をふまえ、使命感を持って活動している人たちだ。しかし、今日の友好活動はもっと幅広い人たちに担われてい る。理屈抜きで「中国大好き」な人たちがいる。中国の歴史、文化が大好きで、機会あるごとに中国と交流する。中国が好きではないが、最も重要な隣国で、友 好関係が大切だと考える人たちも多い。さらに、少子高齢化が進む日本は、これ以上の経済発展は望めないから、中国とのビジネスで活路を開きたいと考える人 も増えている。

私は、歴史認識を踏まえ、使命感を持って運動に参加している人間の一人だ。しかし、この層はしだいに高齢化し、引退していく。勿論、同じ意識を持つ人たち が育ってきているが、まだ多くはない。全体として高齢化が進み、活力が落ちている。そこで、私たちは数年前から高校生を重点に新しい交流活動を始める一 方、若者を対象に「チャイ華」というボランティア組織を作リ、ネットで参加を求めたところ、現在、80名を超す若者が参加している。現役時代中国ビジネス に従事していた企業OBたちが「中国ビジネス相談室」を立ち上げ、活動を始めている。今後は、こうした若者、女性、企業家、企業OBなど、幅広い層に参加 を求め、ぜひ裾野を広げていきたい。

(久保孝雄)

『日本と中国』10年6月15日所載

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