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夏休みを郷里で過ごしてきた韓国の友人から電話があった。開口一番「アジアにおける日本の外交的孤立は深刻ですね。このままでは大変なことになりますよ」という。

彼は日本滞在が長く、日本の大学で教師をしている大変な親日家、知日派であり、台頭する中国と対等に付き合うには日韓連携が不可欠との主張を持っている。その彼が、休暇を過ごしていた間の韓国世論の激しい変化や東アジア情勢などを伝えてきてくれたのである。

彼によれば、東日本大震災の直後、韓国人自らが驚くほど日本への同情心や親日感がわき上がり、義援金も想像を超える額が全国から寄せられたという。これで日韓関係も大きく改善するかに見えた矢先、竹島を日本領土とした文部省指導要領問題が起き、追いかけるように日本の国会議員が竹島視察のためウルルン島(鬱陵島)訪問を計画し、韓国政府が入国を拒否するなどの事件が起きて、震災支援で盛り上がった親日感情が一挙に崩れ、反日感情が高まってしまったという。

さらに韓国の一部識者の間では、野田首相はじめ政権幹部の相次ぐ右傾化発言に反発し、日本と領土問題を抱えるロシア、中国、韓国(+北朝鮮)が連携して対日圧力を強める外交戦略を模索すべきだとの強硬意見も出ているという。事実、韓国、北朝鮮は貿易や資源・エネルギー問題などを通じて中露との関係が強まっている。

彼との対話を通じて痛感したことは、日本が戦後65年、日米安保=日米同盟に安住して外交自主権を放棄し、対米追随に明け暮れている間に、世界もアジアも様変わりの変ぼうを遂げ、日米同盟の「神通力」は昔日の面影を失っているのに、それに気づかず、あるいは気づかないふりをして、世界とアジアの新しい現実から目を背けてきた大きなツケが、いま日本外交崩壊の危機を招いているということである。

私は小泉内閣いらい、アジア軽視、対米従属の日本外交に警鐘を鳴らしてきた。とくに世界政治に地殻変動をひき起こしつつある「上海協力機構」(中露主導、世界人口の40%、面積で世界の25%、ユーラシアの60%、GDPで11兆ドルを占める共同体)への鈍感な対応を批判してきた。こうした外交の基調を変えようと「アジア重視」を掲げて政権に就いたのが民主党だったので大いに期待したが、内外の圧力で急速に変質し、対米追随とアジア軽視外交に戻ってしまった。安保・防衛ではむしろ対中国牽制シフトを強めている。「日米同盟」一辺倒とアジア軽視から転換しないかぎり、ユーラシア世界の新しい政治的ダイナミズムとの断絶が決定的になっていくように思えてならない。

(久保孝雄)

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